タイ人の失笑を買う日本人──海外での“自分”はもう“個人”ではない

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海外でのあなたは、もう“ただの自分”ではない。どんなに隠しても、あなたの一挙一動が“日本人の代表となる

バンコクに住んで十数年。屋台のカオマンガイよりも、近所のセブンの冷凍パスタの味に詳しくなった頃、ふと気づいたことがある。

それは、「海外に出た瞬間、あなたは“日本人代表”になる」という、ちょっと重たい現実だ。

いやいや、俺はただの旅行者だし、代表とか無理っす…って思ったそこのあなた。
残念ながら、タイ人はそんな個人主義的な視点で見てくれない。あなたが何をしようが、どんな服を着てようが、どんなに“自分らしく”振る舞っていようが、彼らの目には「日本人がこうしている」と映るのだ。

そして最近、その「日本人代表」のイメージが、ちょっとずつ、確実に、崩れてきている。

「え、日本人なのにそんなことするの?」

これは、タイ人の口から実際に聞いた言葉だ。文脈はこうだ。バンコク郊外で起きた殺人事件。被害者も加害者も、どちらも日本人。しかも、加害者は詐欺グループの一員で、仲間割れから殺人に発展。遺体は切断され、スーツケースに詰められて発見された。

「日本人って礼儀正しくて、犯罪とかしないイメージだったのに…」と、タイ人の友人は苦笑いしながら言った。いや、こっちが苦笑いしたいわ。

さらに、2025年には日本人高校生がタイ経由でミャンマーの詐欺拠点に拉致されるという事件も起きた。加害者も日本人。被害者はオンラインゲームで知り合った“優しいお兄さん”に誘われて、気づけば地獄のような詐欺工場に送り込まれていた。

タイ警察がバンコクで加害者を逮捕したとき、タイのニュースはこう報じた。「日本人が日本人を騙す時代」。いや、時代って何だよ。そんなキャッチコピーいらん。

メンツ、どこ行った?

タイ社会は「面子(メンツ)」を重んじる文化だ。人前で恥をかかせない、相手の立場を尊重する、そういう“空気を読む”力が求められる。日本人も、かつてはそうだった。少なくとも、俺がタイに来たばかりの頃は、「日本人は礼儀正しい」「信用できる」「約束を守る」と言われていた。

でも今はどうだ?

  • レンタルバイクで事故って逃げる日本人
  • タクシー詐欺に加担する日本人
  • 宝石詐欺の片棒を担ぐ日本人
  • ホテルで騒ぎまくって出禁になる日本人
  • ビザの不正取得を指南する“日本人先輩”たち

これ、全部実話だ。しかも、タイ人のSNSで拡散されてる。コメント欄には「日本人も他の外国人と変わらないね」「昔は尊敬してたけど、今はちょっと…」という声が並ぶ。

メンツ、どこ行った?

「自分だけは大丈夫」は、もう通用しない

「俺はそんなことしないし」「一部の人でしょ?」という声もあるだろう。もちろん、そうだ。99%の日本人は真面目に旅して、真面目に働いて、真面目に帰っていく。

でも、残念ながら“悪目立ち”するのは、いつだってその1%だ。そしてその1%のせいで、残りの99%が「日本人ってこうなんだ」と思われる。

あなたがレストランでチップを払わなかったら、「日本人はケチだ」と思われる。あなたがホテルでスタッフに怒鳴ったら、「日本人は横柄だ」と思われる。あなたが空港で荷物検査に文句を言ったら、「日本人はルールを守らない」と思われる。

そう、あなたの一挙一動が、“日本人全体の評判”を作っているのだ。

じゃあ、どうすればいいの?

別に、聖人君子になれと言ってるわけじゃない。ただ、最低限のことは守ってほしい。

  • 公共の場では静かに
  • スタッフには敬意を
  • ルールは守る
  • 困ったら相談する
  • 詐欺っぽい話には乗らない
  • 他人のメンツを潰さない

それだけでいい。いや、それすらできないなら、海外に出るのはちょっと待ってほしい。タイは優しい国だ。でも、優しさに甘えてばかりいると、いつかその優しさは消える。

最後に──バンコクからのお願い

俺はバンコクに住んでいる。タイ人の友人も多い。彼らは今でも「日本人は好きだよ」と言ってくれる。でも、その言葉の裏には、少しずつ“警戒”が混じってきているのを感じる。

だからこそ、伝えたい。

あなたが海外に出た瞬間、あなたは“日本人代表”になる。
あなたの行動が、次に来る日本人の信用を左右する。
あなたの振る舞いが、日本人全体のイメージを作る。

バンコクの屋台で、セブンのレジで、警察署の受付で、あなたは常に“見られている”。

そのことを、どうか忘れないでほしい。

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