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ご質問ありがとうございます。その言説について、データを基に回答します。
回答:結論から言うと、その言説は「統計上『餓死』という直接的な死因が多数報告されているわけではない」という意味では表面的な事実かもしれませんが、タイの深刻な「食料不安」と「栄養不足」の実態を覆い隠してしまう、非常に誤解を招きやすい表現だと言えます。
「餓死はほとんどない」イコール「飢えている人はいない」では、決してありません。
1. 「餓死」の統計と「栄養不足」の実態
まず、「餓死(Starvation)」という直接的な統計データを見つけるのは困難です。しかし、関連するデータはタイの深刻な状況を示しています。
- 栄養不足による死亡: WHO(世界保健機関)のタイの死亡原因データには、「栄養不足(Nutritional deficiencies)」による死亡が計上されています。これは、食料不足が健康を害し、命に関わるケースが存在することを示唆しています。
- 子供の死亡率: 5歳未満の子供の死亡の背景には、不適切な栄養と不健康な環境の組み合わせが関連していると指摘されています。
2. タイの「食料不安」の深刻さ
タイは「世界の台所」と呼ばれるほどの食料輸出国であり、国全体(マクロレベル)で見れば食料は豊富にあります。しかし、国民一人ひとり(ミクロレベル)で見ると、深刻な格差が存在します。
- 深刻な食料不安の人口: 国連の2023年の報告によると、タイの人口の**約10.5%が「深刻な食料不安(Severe food insecurity)」**に直面していると指摘されています。これは、丸1日以上食べ物がない状態を経験した人が10人に1人いる、ということを意味します。
- 栄養不足の人口: 世界銀行やタイ国内の統計でも、約620万人(全人口の約9%)が適切な栄養を欠いているとされています。
- 子供の飢餓: 状況は特に子供にとって深刻です。ユニセフ(UNICEF)の2024年の報告では、タイの5歳未満児の**10人に1人が「深刻な児童食料貧困(Severe child food poverty)」**の状態にあるとされています。これは、健康な発育に必要な最低限の多様な食品(例:野菜、果物、タンパク質など)を摂取できていない状態を指します。
| 指標 | 値(最近のデータ) | 意味合い(僕の皮肉コメント付き) |
|---|---|---|
| GHIスコア (2025) | 9.7 (低) | 「低飢餓」って、なんか上から目線だよね。実際は栄養失調が死因のひとつ。 |
| アンダーノーリッシュメント率 (2021) | 5.2% | 約350万人がカロリー不足。でも、餓死までいかないのは「食えるけど質が悪い」パターン。 |
| 食料不安定世帯 (スラム調査) | 56% (うち深刻3%) | 貧困層の半分以上が「腹減ったけど我慢」状態。COVIDで悪化。 |
| 栄養失調による死亡寄与 | 複数疾患の要因 | 直接餓死じゃなく、間接的に命取るヤツ。政府も認めてるよ。 |
3. なぜ「餓死が目立たない」ように見えるのか
タイで「餓死」という最悪の事態が目立ちにくい背景には、文化的・社会的なセーフティネットの存在が考えられます。
- タンブン(徳を積む)の文化: 仏教の教えに基づき、人々は日常的に貧しい人へ施し(食料やお金)を行います。
- 寺院の役割: 多くの寺院が、困窮者に対して無料で食事(炊き出し)を提供しています。
- 地域の助け合い: コミュニティ内での相互扶助の精神が根付いています。
これらのセーフティネットが、人々が路上などで餓死するような最悪の事態を防ぐ一定の役割を果たしている可能性はあります。
まとめ
ご質問の「貧困地域でも食料不足で餓死するケースはほとんどありません」という言葉は、タイの社会的なセーフティネットの強さを表している側面はあるかもしれません。
しかし、その言葉の裏には、全人口の約1割が「丸一日食べられない」日を経験し、子供の10人に1人が深刻な栄養不足にあるという厳しい現実が隠されています。
したがって、この言説は、タイの貧困層が直面する食料問題の深刻さを見誤らせる可能性があるため、注意が必要だと私は思います。

とカオトム(ข้าวต้ม)の違いを歴史的視点から見てみた.webp)
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