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鏡に映るのは「美容師」か、それとも「不法就労者」か。バンコク理美容界の、美しき綱渡り。
やれやれ、今日もスクンビットの路地裏では、ハサミの音が軽快に響いている。
「タイで日本人美容師として腕を振るいたい」……そんな志を抱いてバンコクの土を踏む若者は後を絶たないが、まずは冷や水をぶっかけさせてもらおう。
結論から言えば、あんたがタイで“普通に”髪を切ることは、法律という名の高い壁に真っ向から激突する自殺行為だ。
表向きは華やかに見える日系サロンの裏側で、彼らがどんな「薄氷」を踏み抜かないよう必死に踊っているのか。
古株の老いぼれが、その「愛すべき欺瞞」を暴いてやるとしよう。
🇹🇭 「微笑みの国」が、ハサミを持つ手には微笑まない理由
ネットで少し調べれば、絶望的な一文が嫌でも目に入るはずだ。
タイ王国において、「散髪師、理容師、美容師」は外国人が就労することを固く禁じられた「聖域」である。
- 法律の鉄槌: 外国人就労禁止職種リストに、その名は血文字のごとく刻まれている。
- 現実の絶望: どんなに技術があろうと、労働許可証(ワークパーミット)に「美容師」と記載されることは万に一つもあり得ない。
つまり、タイでハサミを握る日本人は、その瞬間に「法の外側」へとはみ出しているわけだ。
🇹🇭 摘発を免れるための「おままごと」:4つの欺瞞
では、なぜ街中に日本人美容師が溢れているのか?
それは彼らが「魔法」を使っているからではない。単に、「捕まりにくい言い訳」を金で買っているか、運良く見逃されているだけだ。
① 「名ばかり管理職」という仮面
ワークパーミットの職種欄には「マネージャー」や「コンサルタント」という文字が躍る。
「私は経営を管理しているだけで、ハサミは持っていません」という建前だ。
だが、現実はどうだ? 鏡の前で客の髪を切り、カラー剤を混ぜている。実態は真っ黒な違法行為だが、書類上だけは「ホワイト」を装う。これが最もポピュラーな手口だ。
② 「教えるだけ」という苦しい言い訳
「私はタイ人スタッフに技術を伝授するトレーナーだ」と言い張るパターン。
だが、客から指名料を取り、実際に施術を完結させてしまえば、それは立派な実務だ。当局が踏み込んできた時、その言い訳が通用するかは、その日の担当官の機嫌次第だろう。
③ 「隠れキリシタン」方式の施術
店の奥深く、入り口からは見えないスペースで日本人がひっそりと髪を切る。
会計や受付はタイ人が行い、日本人はあたかも「ただの友人」かのように振る舞う。
滑稽な話だが、こうして当局の視線から物理的に逃れることで食い繋いでいる店も少なくない。
④ 「茶色の封筒」とコネクション
タイという国は、法よりも「繋がり」が優先されることがある。
警察や役所に太いパイプを持つオーナーの下では、摘発の魔の手は届きにくい。
だが、これは「守られている」のではなく「見逃されている」だけだ。風向きが変われば、真っ先に切り捨てられるのは雇われている外国人であることを忘れてはいけない。
🇹🇭 運命を分けるのは、徳の高さか、それとも恨みか
「あそこの店は捕まっていないから大丈夫」なんていう楽観論は、この街では通用しない。
摘発されるケースの多くは、法の厳格な運用ではなく、「人間関係の綻び」から始まる。
- ライバル店からの嫉妬混じりの通報。
- クビにした元従業員による復讐。
- 近隣住民との些細なトラブル。
これらが引き金となり、ある日突然、制服組が店に現れる。
合法だから捕まらないのではない。「誰にも刺されていないから、まだ生きている」。それがタイにおける日本人美容師の正体だ。
🇹🇭 それでもこの街で、ハサミを置かないあんたへ
救いようのない現実だが、これがこの国の「色」だ。
合法的なルート? そんなものは幻想だ。BOIだろうが、どんなエリートビザだろうが、ハサミを持った瞬間にあんたは「アウト」なのだ。
それでも、この熱気に当てられ、この不条理な街で自らの腕を試したいと願うなら、覚悟を決めるしかない。
「自分は常にグレーゾーンを歩いている」という自覚と、周囲への謙虚さ、そして万が一の時に全てを捨てる潔さ。
それこそが、タイで生き抜くための唯一の「技術」かもしれないな。
不自由な自由を満喫しようじゃないか。
ま、せいぜい当局の足音が聞こえない程度に、上手に立ち回ることだ。
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