なぜ年を取ると1年が秒で過ぎるのか?代謝とウェーバーの法則で解く「時間の謎」

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【バンコク駐在雑記】なぜ年を取ると1年が秒で過ぎるのか?代謝とウェーバーの法則で解く「時間の謎」

サワディークラップ。

今日も今日とて、バンコクの湿度は絶好調。
プロンポンの路地裏で、ぬるくなったLeoビールをちびちびやりながら、ふと思ったわけです。

「あれ? こないだソンクラーン(水かけ祭り)でびしょ濡れになったばかりじゃなかったっけ?」

気づけばもう年末の気配。
タイに来てからというもの、日本にいた時よりもさらに時間が加速している気がする。いや、これは「マイペンライ(気にしない)」で済ませていい問題じゃない。

おじさんになると、なぜこうも時間が早いのか。
今日はいつもの適当な駐在員ブログのノリを捨てて、ちょっとだけ科学的(アカデミック)に、この絶望的な現象を解明してみようと思う。

1. 代謝が落ちれば、時計は回る

まず、身体的な側面から。
よく言われる話だけど、「代謝」と「時間の感覚」は密接に関係しているらしい。

子供の頃を思い出してみてほしい。
あの頃は、心臓の鼓動も早く、体温も高く、常に細胞分裂を繰り返していた。エネルギーの塊だ。

生物学者のロバート・B・ソーマンによると、「代謝速度が速い=体内時計の刻みが速い」ということになる。

これを映像で例えると分かりやすい。

  • 子供(代謝が良い): 超ハイスピードカメラ(スローモーション撮影)。1秒間にたくさんのフレーム(情報)を処理している。だから、再生すると世界はゆっくり動いて見える。
  • おじさん(代謝が悪い): 防犯カメラ(コマ落ち)。1秒間に処理できるフレーム数が激減。だから、再生すると世界は早送り(タイムラプス)のようにカッ飛んでいく。

バンコクの暑さでダラダラ汗をかき、運動不足で腹が出てきた我々駐在員。
代謝が落ちるということは、自分というカメラの性能が落ち、世界を捉える「コマ数」が減っているということだ。

我々の体内時計が「カチ…カチ…」とゆっくり刻んでいる間に、現実世界の時計は「カチカチカチカチ!」と猛スピードで回っている。これが「代謝説」の正体だ。

2. ウェーバーの法則が突きつける「慣れ」の恐怖

身体が錆びつくのは仕方ないとして、もう一つ、脳みその方にも原因がある。
ここで登場するのが「ウェーバーの法則(Weber’s Law)」だ。

本来は「重さ」や「音」の感じ方に関する精神物理学の法則なんだけど、これは「時間の感じ方」にもそのまんま当てはまる。ジャネーの法則として語られることも多いけど、根本はこれだ。

簡単に言うと、「刺激の強さは、元の大きさとの比率で決まる」という法則。

「1年」の重みが違う

  • 5歳の子供にとっての1年:
    人生の 20% (1/5) に相当する。
    これはデカい。人生の5分の1が、たった1年で書き換わるのだから、毎日が大冒険で長く感じるのは当たり前だ。
  • 50歳のおじさんにとっての1年:
    人生の 2% (1/50) に過ぎない。
    たったの2%。消費税より軽い。

ウェーバーの法則的に言えば、「生きてきた時間が長くなればなるほど、これから過ごす時間の相対的な価値(刺激)は薄まっていく」ということになる。

タイ生活における「刺激のインフレ」

タイに来た当初を思い出してほしい。
初めて乗ったトゥクトゥクのボッタクリ、パクチーの強烈な匂い、言葉が通じないもどかしさ。
あの頃の1ヶ月は、ものすごく長く、濃密だったはずだ。

それがどうだ。
今や、モタサイ(バイクタクシー)の後ろでスマホをいじり、屋台の注文もタイ語で「アオ・アンニー(これちょうだい)」で済ませ、渋滞(ロット・ティット)にも動じない。

脳が「新しい刺激」を受け取っていないのだ。
日常がルーティン化(=刺激の比率が低下)した瞬間、脳は「あ、これ知ってる処理」として記憶を省略し始める。結果、気づいたら夕方になっている。

3. 抗うための処方箋

じゃあ、どうすればいいのか。
代謝を上げるためにジムに通うのもいいけど、ウェーバーの法則を逆手に取る方が手っ取り早い。

「分母(生きてきた年数)」は変えられないが、「分子(新しい刺激)」は増やせる。

いつもと違うソイ(路地)を歩いてみる。
いつもと違う銘柄のビールを飲む。
あえて、全く通じない高度なタイ語を使ってみて、店員のおばちゃんを困らせてみる。

「慣れ」を破壊し、脳に「おっ、新しいデータだ!」と認識させること。
これこそが、早送りされる人生の再生速度を、標準に戻す唯一の手段なのだ。

というわけで、今日はいつもの屋台じゃなくて、ちょっと小洒落たルーフトップバーにでも行ってみようかと思います。
ま、結局飲むのはビールなんだけどね。

それでは、チョークディー(幸運を)。

バンコク駐在 #体内時計 #代謝 #ウェーバーの法則 #時間の不思議

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