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通用しない「家だけの強気」
社会と家庭、両方から孤立するリスクとは
仕事ではおとなしいのに、家に帰ると急に強気になる。
そんな人を、身の回りで見たことはないでしょうか。
職場では上司や取引先に気を使い、波風を立てない。
ところが家庭では、テレビの音や食事、家族の行動にまで細かく口を出す。
本人は「外で我慢している分、家では素でいたい」と思っているかもしれません。
しかしこの「家だけの強気」は、今の社会では大きなリスクをはらんでいます。
それは、社会と家庭の両方で孤立していく可能性があるからです。
社会で通用しなくなり始めた「内向きの強さ」
近年、職場環境は大きく変わっています。
社内だけで完結する仕事は減り、外部との関わりや成果の見える化が進みました。
こうした環境では、
社内でだけ強く、外では何も言えない人は評価されにくくなります。
怒鳴る、威圧する、立場を使って押し切る。
それらは以前ほど「リーダーシップ」として受け取られません。
むしろ「扱いづらい人」「対話ができない人」と見られがちです。
結果として、重要な場面から外されることが増え、
職場での存在感は少しずつ薄れていきます。
この変化は、本人には分かりにくい形で進みます。
誰も直接指摘しないからです。
ただ、声がかからなくなるだけです。
社会での違和感を家庭に持ち込むとどうなるか
職場で居場所が揺らぎ始めると、
人は無意識のうちに「安全な場所」を求めます。
その多くの場合、それが家庭です。
外では言えない不満や不安を、
家庭で強い言葉や態度として出してしまう。
本人に悪気はありません。
しかし家庭は、感情のはけ口ではありません。
配偶者や子どもは、社会の変化を敏感に感じ取っています。
「強く言う人=正しい人」ではないことも知っています。
そこで強気な態度を取り続けると、
反論ではなく沈黙が返ってきます。
会話は減り、
相談はされなくなり、
家庭内での役割は事務的なものだけになります。
これが家庭内で起きる、静かな孤立です。
「理解された」と誤解してしまう危険
厄介なのは、
家族が反論しなくなったことを
「分かってくれた」と誤解してしまう点です。
実際には、理解ではなく諦めであることが少なくありません。
社会で孤立し、家庭でも孤立する。
この二つは別の問題ではなく、
「内側だけで強く振る舞う」という共通の行動パターンから生まれています。
かつては、
会社という閉じた世界と、家庭という逃げ場がありました。
しかし今は、
会社も家庭も、以前ほど閉じた空間ではありません。
これから必要になる「外で試される強さ」
これから求められるのは、
安全な場所での強さではなく、
不確実な場面でも対話できる強さです。
外で通用しない態度は、
家でも通用しなくなります。
逆に言えば、
外で少しずつ試される経験を積むことで、
家庭での関係も変わっていきます。
強さとは、声の大きさではありません。
相手の話を聞き、自分の立場を説明できることです。
「家だけの強気」に頼らなくなったとき、
社会と家庭の両方で、ようやく居場所が戻ってくる。
今は、その分かれ道に立っている人が
想像以上に多いのかもしれません。




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