バンコクの風に消えた100人の影:微笑みの国が供する「自由」という名の闇市場

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タイ警察が関与?! 入管収容中の中国人100人超を国外逃亡手引き

タイ警察が関与?! 入管収容中の中国人100人超を国外逃亡手引き

誰が彼らを消したのか?微笑みの国が隠し続ける暗部

バンコクの湿り気を帯びた夜風に吹かれながら、私は思う。この街で「不可能」という言葉ほど無意味なものはない、と。
先日、スワンプル移民拘留センターを舞台に、まるでハリウッドの犯罪映画も顔負けの脱走劇が演じられた。いや、「脱走」と呼ぶのは些か情緒に欠けるかもしれない。これは、権力と金銭が精緻に編み上げた、極上の「集団失踪マジック」なのだから。

巧妙なる「狂言」の錬金術

事の真相は、実に薄汚く、そして驚くほど論理的だ。
収容されていた100人を超える中国人拘留者たちが、煙のように姿を消した。彼らの多くは詐欺や不法入国で捕まった、いわば「祖国に帰りたくない」面々だ。中国へ送還されれば、待っているのは冷たい鉄格子か、あるいはそれ以上の峻厳な裁き。そこで彼らが縋ったのが、ブローカー、弁護士、そして本来は法を守るべき公務員たちが結託した「自由への特急券」である。

手口はこうだ。まず、息のかかった警察署で「強姦」などの凶悪な架空事件を捏造し、拘留者に対して偽の刑事告訴を行う。するとどうだ。裁判所から令状が発行され、移民局の檻は「捜査のため」という大義名分のもとに、いとも容易く開かれる。
法の番人が法をハックし、犯罪者を白日の下に解き放つ。1人あたり数百万バーツ、総額にして億単位の金が動いたとされるこのスキームは、もはや腐敗という言葉では生ぬるい。これは、国家の機能を切り売りする「闇のオークション」に他ならない。

誰がために鐘は鳴り、誰がために門は開くのか

この醜聞を白日の下に晒したのは、犯罪被害者支援クラブの会長、アッチャリヤ氏だ。彼が指摘したリストには、2021年から2025年にかけて、同様の手口で「合法的に」消えていった131人の名が連なっている。Ma GuangxueやXiao Longといった具体的な名前が挙がるたびに、当局の顔は引きつり、言い訳の言葉は空虚に響く。

移民局の捜査部門は「内部調査を進めている」と神妙な面持ちで語り、警察側は「手続きは正当だった」と賄賂の疑惑を鼻で笑う。
これほどまでに滑稽な喜劇があるだろうか。守護者たちが揃って「自分たちは騙された被害者だ」とでも言いたげな顔をしているのだ。バンコクの裏通りで安酒を煽っている酔っ払いでさえ、これよりはマシな嘘をつく。

信頼の崩壊と、我々が生き抜くための「諦念」

この一件は、タイという国の移民政策がいかに脆く、そして「金」という潤滑油に対して従順であるかを露呈してしまった。東南アジアが犯罪グループの揺り籠と化す中、法の番人自らが抜け穴を掘っているようでは、国際的な信頼など露の如く消え去るだろう。

結局のところ、権力というものは、それ自体が目的化した瞬間に腐臭を放ち始める。
2026年、カレンダーが新しくなっても、この街の深淵に潜む構造は何も変わらない。消えた100人の中国人は、今頃どこか第三国のビーチで、タイの「寛大な法執行」を肴に祝杯を挙げているのかもしれない。

さて、我々はこの救いようのない現実をどう受け止めるべきか。
憤り、正義を叫ぶのも一つの手だろう。だが、この街の裏表を知り尽くした「盤谷爺」から言わせれば、少しばかりの「健全な不信感」こそが、この混沌を生き抜くための知恵である。
システムを盲信せず、かといって絶望に沈むこともない。ただ、この滑稽な人間模様を冷徹に眺め、自分だけは足元を掬われないよう、静かに、そして図太く生きていく。

微笑みの国の裏側で、今日も誰かが金で自由を買い、誰かが法を売り飛ばしている。
そんな矛盾を肴に、今夜もまた一杯、苦い酒を啜るとしよう。

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