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~安さの裏に潜む危険──パタヤ無許可クリニック摘発~
観光都市パタヤは、タイの中でも特に外国人観光客に人気の街である。ビーチリゾートとしての華やかさ、夜の歓楽街の賑わい、そして近年はショッピングモールや高級ホテルの整備によって「国際都市」としての顔を強めてきた。しかし、その光の裏には影がある。今回摘発された「センターパタヤ・クリニック」の事件は、その象徴的な一例だ。
警察当局によると、このクリニックは無許可で営業を続け、外国人を対象に医療行為を行っていた。資格を持たない偽医者が診療を行い、摘発の際には2人が逃走。現場からは医薬品や偽造印章が押収された。患者の多くは観光客や在住外国人であり、言語の壁や制度の理解不足を突かれた可能性が高い。観光都市の中心で、こうした「影の医療」が堂々と存在していたことは衝撃的である。
なぜこのような無許可クリニックが成立するのか。
背景には、観光都市特有の構造がある。第一に、外国人は現地の医療制度に不慣れであり、正規の病院に行くよりも「安くてすぐ診てもらえる場所」を選びがちだ。第二に、美容医療や簡易診療をうたう施設が乱立し、規制の網をすり抜けるケースが少なくない。第三に、観光都市では「一時的な滞在者」が多いため、長期的な信頼関係よりも即時的な需要に応えるビジネスが成立しやすい。こうした条件が重なり、無資格者による医療行為が温床となる。
もちろん、タイには国際水準の医療を提供する病院も多く存在する。バンコクやパタヤの大病院は、英語対応も整い、外国人患者を積極的に受け入れている。しかし、その一方で「影の医療」が並存している現実は、観光都市の二面性を示している。華やかなリゾートの裏で、安さや利便性を求める人々が危険にさらされているのだ。
この事件は、日本人旅行者や在住者にとっても警鐘となる。
日本では医師免許制度が厳格に守られているため、無資格者が堂々と診療することは考えにくい。しかし、海外では必ずしも同じとは限らない。観光地で「安いから」「すぐ診てもらえるから」と安易にクリニックを選ぶことは、取り返しのつかないリスクにつながりかねない。医療は価格や利便性だけでなく、資格や許可の有無を確認する習慣が不可欠である。
さらに、この問題は日本社会にも通じる。近年、日本でも美容医療や自由診療の分野で「資格商売」やグレーなサービスが増えている。広告は華やかでも、実際の安全性や制度的な裏付けは不透明なケースがある。パタヤの事件は、私たちに「医療の信頼性とは何か」を問い直すきっかけを与えている。
観光都市の光と影。その影の部分に潜む「影の医療」は、外国人観光客だけでなく、都市の信頼性そのものを揺るがす。パタヤの摘発は一件の事件に過ぎないが、観光都市の未来像を考える上で重要な示唆を含んでいる。都市の中心は誰のためにあるのか──観光客の利便性か、住民の安全か。それとも、資格なき者が利益を得るための舞台なのか。
日本人読者にとって、この問いは決して他人事ではない。観光都市パタヤの事件は、私たち自身の社会に潜む「安さの裏に潜む危険」を映し出す鏡でもあるのだ。

パタヤに住むリタイアメントで滞在する日本人も少なくないので、今後もこの手のやすかろう悪かろう(そもそも医師じゃない闇医師)のようなクリニックに関わってしまうことが懸念されます。最低でも壁にかかったあるべき医師免許情報は確認してください。
スマホで写真を撮ってから、AIなどに確認依頼すれば可能ですので、言語に自信がない方でも難しくないと思います。
とカオトム(ข้าวต้ม)の違いを歴史的視点から見てみた.webp)

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