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安さに群がる日本人が失う「信頼」の価値
善意が裏目に出る格安ECの罠
やれやれ、日本という国は相変わらず「お利口さん」が過ぎるようだ。バンコクの湿り気を帯びた熱気の中で、スマホの画面越しに日本のニュースを眺めていると、時折、乾いた笑いしか出てこない。
今回のネタは「指定ゴミ袋」だ。
あんたも律儀に、自治体指定のあの高い袋を買って、朝の決まった時間にゴミを出しているんだろう? あの袋は単なるポリ袋じゃない。ゴミ処理代という名の「みかじめ料」を上乗せした、いわば共同体への忠誠の証だ。自治体ごとに色や形が違うのも、「お仲間」を識別するため。実に見事な、そしてあまりに日本的な「静かなる社会契約」の形だよ。
だが、その美しい調和に泥を塗る連中が現れた。
国境を越える「偽りの免罪符」
なんと、中国のECサイトで日本の指定ゴミ袋が半額で叩き売られているというじゃないか。
笑わせるよな。世田谷だの福岡だの、特定の町でしか通用しないはずの「ローカルな通行手形」が、海を越えた巨大なデジタル市場で堂々と陳列されている。
これは単なる「安物買い」の話じゃない。日本の行政が後生大事に守ってきた「性善説」という名の幻想が、グローバルな強欲の前に無惨に引き裂かれた瞬間だ。
そもそもこの制度は、「住民は正規ルートで、適正な価格で買うはずだ」という、お花畑のような信頼の上に胡坐(あぐら)をかいていた。袋そのものに偽造防止のホログラムがあるわけでも、ICチップが埋め込まれているわけでもない。ただのプラスチックの袋だ。
「まさかゴミ袋の偽物を作る奴なんていないだろう」――。そんな甘い見積もりが、越境ECという名の黒船によって粉々に粉砕されたわけだ。
「正直者が馬鹿を見る」という、一番の毒
一番の問題は、この歪みが「公平性」という名の劇薬を住民に飲ませることだ。
真面目に自治体のルールを守り、定価を払う善人が損をし、裏ルートで半額の袋を手に入れた抜け目のない輩が、平然と同じゴミ捨て場にゴミを放り込む。
この不公平感こそが、社会の根幹を腐らせる。
「みんなが守っているから自分も守る」という共同幻想が崩れたとき、残るのは「出し抜いたもん勝ち」という荒野だけだ。
日本の行政は、いつまで「善意」を担保に制度を回し続けるつもりだろうか。
「地域の中で完結するルール」なんてものは、インターネットという国境のない怪物からすれば、指先一つで弾き飛ばせる紙細工に過ぎないんだ。
性善説の「アップグレード」が必要な時代
じゃあ、どうすればいいのか。
まさか全てのゴミ袋にGPSを付けろとは言わない。だが、もはや「心」に頼る時代は終わったんだ。
QRコードによる個体識別、あるいは袋そのものを廃止して、電子決済や処理券での徴収へ移行する。技術的にはいくらでもやりようはある。
大切なのは、「性善説」を捨て去ることではなく、それを「持続可能な仕組み」へとアップデートすることだ。
外からの侵食を許さない、冷徹なまでのシステム構築。それこそが、結果として真面目な住民を守ることになるんだからな。
それでもこの「泥沼」を生き抜く術
バンコクの路地裏で、偽物のブランド品や怪しい薬が平然と売られているのを眺めていると、日本のこの騒動がひどく滑稽に見える。
世界はもともと、混沌(カオス)だ。善意だけで回っている場所なんて、地球上のどこにもありゃしない。
我々にできるのは、この矛盾だらけの世界に絶望することじゃない。
「あぁ、また一つ美しい幻想が壊れたな」と鼻で笑い飛ばしながら、「損をしても自分だけは美学を貫くか、それともこの混沌を愉しむか」を、自分の腹で決めることだ。
ゴミ袋一枚に一喜一憂するような窮屈な正義感は、バンコクのスコールにでも流してしまえ。
大切なのは、システムが崩れても、自分自身の「芯」だけは安売りしないこと。
……まぁ、たまには偽物の袋でゴミを出したくなる夜もあるかもしれないが、その時はせめて、自分の良心が痛まない程度の「愛ある毒」を隠し持っておくことだ。
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